演劇制作ユニットnu-ta『杏仁豆腐のココロ』

Set design/Photo/Design/Movie

演劇ユニットnu-taの企画公演『杏仁豆腐のココロ』における、宣伝美術・宣伝写真撮影・フライヤーデザインを行いました。また、予告映像の作成を予定しています。コロナ禍の影響が強くある中、従来とは違うワークフローで作業しています。

『しみったれた部屋に住む、離婚前夜の夫婦』がテーマです。当初はグラフィックデザインだけの依頼だと思っていたのですが、主催より実写ベースのアートワークを作って欲しいとリクエストがあったために、レンタルスタジオを借りて撮影を行うことになりました。宣伝美術というのは公演本番の舞台美術とは別であるため、演出家や舞台美術家の協力はありません(変な話ですがテレビドラマとは違って演劇はチラシを早い段階で作るため、演出家たちはまだ準備段階のさらに前……という感じです)。そのため戯曲の世界観を独自に表現する必要があり、精読した台本からイメージスケッチを作成し、図面の作図に美術用品の一覧表、撮影スケジュールといった入念な準備を自前で行い撮影に臨みました。

特にこだわったのは光の明暗です。当初より、和室特有の四角い天井照明をピンスポットに見立てようという演出意図を抱いていました。しかしそうすると真下に座っている俳優の顔にも影が濃く落ちてしまいます。その対策として、三脚を使って定点で撮影し、照明で俳優を照らした状態の素材撮りも行って、あとで合成してバランスを撮るという作り方をやってみました。天井照明も白飛びせずに蛍光灯が見えるよう、露出を変えて撮影した素材を合成しています。また画面全体の中で明度のバランスも細かく調節しており、俳優の顔に視線が誘導されるよう障子や襖、ダンボールや衣服には様々なヨゴシをCGで乗せています。

今作のアートワークは、イメージスケッチ・写真撮影・CG加工・グラフィックデザインといった培ってきた技術に加えて、テレビドラマの美術と制作、台本の読解の経験を結集させたものになっており、自分の本領を発揮できたと思います。仕上がりも気に入っています。撮影を行った9月現在、舞台活動はコロナ禍によって様々な制約が課されています。観客の回復とさらなる開拓のために何ができるかを模索しています。