NHKプレミアムドラマ 「忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ」美術進行


NHKプレミアムドラマ 「忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ」の現場に、美術進行として参加しています。

昭和の高校が舞台ということで、映像に映り込む現代っぽい要素を隠す必要が多々ありました。たとえば廊下のシーンでは、教室の入口の上にある「◯年◯組」のプレートが映り込むわけですが、現代のロケ先の高校では白地のアクリル板に黒のゴシック体が印刷されたモダンなものになっています。これを当時の、黒い板に白い筆文字で描かれたプレートに変える必要があって、手作りで準備していました。他にも時間割表を手書きで何枚も作ったり、部活の勧誘ポスターを作ったり……準備に追われて、間違いなく人生最大の激務な日々でした。
で、一番のやらかしとして、劇中で最も重要な小道具であるトランジスタラジオをエイジングするために自宅に持ち帰って色を塗っていたのですが、一週間に二回徹夜する作業量がたたって、ロケに寝坊してしまうという大失態…… 思い返しただけでもトラウマで苦しみます。血の気のないまま遅れて現場へ入って、全員から雷を落とされる……かと思えば、誰からも怒鳴られることがないどころか、ベテランのスタッフの方々が心配そうな顔でやってきては「実は俺も過去に同じ様にな…」と、懺悔を兼ねたフォローの言葉を下さりました。ADさんも機転を利かせて撮影の順番を入れ替えてくれたので九死に一生、本当に助かりました。はからずも人の優しさに触れまして、この大ミス以降は、自分もまた人の遅刻に対して寛容になったと思います。

撮影の合間には、出演されていたリリー・フランキーさんと講談社の雑誌『KING』について話をすることができました(俺がイラストレーターとしてデビューした掲載紙であり、編集長がリリーさんだった)、御縁があったんだなあと思います。他にも戸田監督に夕張映画祭のインタビューの裏話を聞いたり、竹中直人さんが控室でずっとスティングのShape of my Heartを唄われてたり…… つらかった中にも楽しい思い出が残っています。特に印象深かったのが、美術の山下先生の準備されていた資料の分厚さです。衝撃的な量だったので、作品づくりにはここまで準備しないといけないのだなという、自分の中でのその後の基準となっています。

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