NHKプレミアムドラマ 「忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ」美術進行

NHKプレミアムドラマ 「忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ」の現場に、美術進行として参加しています。
人生最大に過酷な日々……準備に追われて、常に寝不足との戦いで臨んでいました。
一番のやらかしとして、劇中で最も重要な小道具であるトランジスタラジオをエイジングするために自宅に持ち帰って色を塗っていたのですが、一週間に二回徹夜する作業量がたたって、ロケに寝坊してしまうという大失態……思い返しただけでもトラウマで苦しみます。遅れて現場へ入ったら、誰からも怒鳴られることがないどころか、ベテランのスタッフの方々が心配そうな顔でやってきては「実は俺も過去に同じ様にな…」と、懺悔をかねたフォローの言葉を下さりました。ADさんも機転を利かせて撮影の順番を入れ替えてくれたので九死に一生、はからずも人の優しさに触れまして、それ以降は、自分もまた人の遅刻に対して寛容になったと思います。
撮影の合間には、出演されていたリリー・フランキーさんと講談社の雑誌『KING』について話をしたり(編集長がリリーさんで、俺がイラストレーターとしてデビューした掲載紙でもある)、戸田監督に夕張映画祭の裏話を聞いたり、竹中直人さんが控室でずっとスティングのShape of my Heartを唄われてたり…… つらかった中にも楽しい思い出が残っています。特に印象深かったのが、美術の山下先生の準備されていた資料の分厚さです。衝撃的な量だったので、作品づくりにはここまで準備しないといけないのだなという、自分の中でのその後の基準となっています。